今と昔のお葬式のやり方

昔のお葬式は住んでいる町内の組内で世話を焼き、弔問客のおもてなしや炊き出しなどを手伝い、お通夜、本葬を執り行っていました。江戸時代位までは、通夜で親しい人が集まって一夜を共に過ごし、お葬式は読経のみでその後遺族とその関係者が棺をかついで墓地まで列をなしていき、墓まで運んで土葬をするというやり方でした。

そして、喪服と言えば黒の略礼服あるいは黒紋付の着物を思い浮かべますが、当時は白の麻の上下で俗にいう白装束で行っていました。白は穢れがなく故人を黄泉へ送るには最も良い色とされ、特に既婚女性は貞女は両夫に見えずという夫以外の人には染まらない意味で、未亡人が着る色でもあったのです。

お通夜では遺体の向きを釈迦の故事にならって北向きで寝かせ、悪霊除けに魔除けの刃物を胸の上に置いて安置する習わしもありました。 出棺の際には通常の出入口を使用しないで仮出口から出棺し、帰りはいつもと違う別の道を通って帰るという決まり事もありました。これは死者が家に戻ってこないように、行きと帰りの道を別にして迷わせるという意味だと言われています。

現代では土葬は一部を除きほとんどが火葬にて行われています。お葬式のやり方も厳かで立派なものはあまり見なくなりました。核家族化、近所付き合いや親戚関係の希薄など現代人の生活環境に合わせたお葬式の方法が増え、その最も代表的なのが家族葬です。家族や故人と親しくしていた友人などで行う簡素化されたお葬式の方法で、メリットは自分達が望むやり方を選べる事、そして通常のお葬式より割安な費用で行える点です。献花や飾り付けを故人の好きな物にしたり、好きだった音楽を流したりする事も出来ます。その他にお通夜なしの告別式と火葬のみの一日葬や、遺骨を散布する散骨葬なども最近は増えています。死者を尊び恐れ現世に戻ることのないように儀式を重んじ成仏を祈った昔のやり方も、形式よりも生きていた時の故人を尊重する今のやり方も、人としての尊厳を大切にしています。それがお葬式本来の意味であると言えるでしょう。